この記事ではAutoCADの大量の図面を、何度も印刷(PDF化)する場合にレイアウト空間を利用して簡単にできるテクニックをご紹介します。
下の画像のようにAutoCADで作図し、1つのデータ内に何枚も図面がある状況で使えるテクニックです。
私も実際に経験してきましたが、建築関係の図面というのは多かれ少なかれ
ほぼ必ず修正や変更があります。
そして最近では、提出品は紙ベースではなくデータでの受け渡しが多くなってます。
トシザキ
昔はトレぺで印刷して、感光機で何枚も印刷した図面を手作りの箱に入れて郵送したりもしていました。。。
データの種類もDWGやDXFのCADデータだけではなく、PDFデータでの提出も求められる事が多いですよね。
その時、上記画像のような図面の場合、
「修正があった場合もう一度1枚ずつPDF化しないといけないのか」や
「修正もなく完璧に仕上げたのに、設計変更で書き直してまたPDF化しないといけない」というように何度もPDF化することを考えるとウンザリします。
今回ご紹介する方法はそのように
複数枚の図面がデータ内にあり、何度も印刷(PDF化)する可能性がある場合に適しています。
図面が1枚だけであったり、印刷(PDF化)が1度だけの場合でも使えますが、この後説明する設定方法の手間と比べると効果が薄くなります。
そして結論を先に言うと、
レイアウト空間を使用して1つのレイアウトに1つの図面を書き、パブリッシュで印刷する方法です。
トシザキ
なんのこっちゃ?と思ったら下の設定方法を見て下さい。
設定方法
それでは設定方法をご紹介していきます。
方法としては2つあります。
- パブリッシュで印刷orPDF化する方法
- 自動パブリッシュによるPDF化をワンクリックでできるようにする方法
先に言っておくと、2つご紹介しますが簡単さで言うと後者の方が断然簡単だと思っています。
個人的にはCAD画面で見るより、紙ベースやPDF画面で見た方が間違いや図面としてのクオリティをチェックしやすく感じます。
かつ印刷すると
- コピー用紙がもったいない
- コピー機まで歩く時間がもったいない(面倒)
- 机の上に紙が増えてゴチャゴチャする
といったデメリットがあるのでPDFにしてPC画面上でチェックすることが多いです。
(と言っても、私も若い頃は紙に印刷してすべての寸法や記号を黄色鉛筆でチェックしていましたが。。。)
パブリッシュで印刷orPDF化する方法
手順1
まず、それぞれの図面を1つのレイアウト空間に1枚ずつ割り当てていきます。
※1つの図面の割当てが終わったら全ての図面をレイアウト空間に設定する前に手順2の設定をしてください。
レイアウト空間の設定はコチラ
手順2
レイアウト空間のページ(印刷)設定を行います。
印刷コマンドであなたがいつも使われている印刷設定をして「レイアウトに適用」をすればOKです。
レイアウトタブを右クリックしたら出てくる「ページ設定管理」でも構いません。
また、PDF化と言っていますが普通のプリンタに設定しても問題ありません。
もちろん「DWG to PDF」でも大丈夫です。
手順3
手順2の設定ができたら、レイアウトタブをコピーしていきます。
図面が全て横向きであれば、あとはビューポートの設定など単純作業の繰り返しで設定していけます。
コピーする時のコツは下の記事で詳しく書いています。
手順4
印刷(PDF化)したい図面をそれぞれレイアウト空間に設定できたら、いよいよパブリッシュという一括印刷(PDF化)を行います。
設定したレイアウトタブから印刷(PDF化)したいタブを選択します。
複数タブの選択方法はコチラ
(すべて印刷(PDF化)したい場合はレイアウトタブを右クリックで「すべてのレイアウトを選択」をクリックしてください。)
手順5
印刷(PDF化)したいレイアウトタブを選択できたら、選択したレイアウトタブの上で右クリックします。
すると、「選択したレイアウトをパブリッシュ」という項目が出てくるのでクリックします。
手順6
すると下の画面が出てきます。
- ①『パブリッシュ先』が印刷したい場合は「ページ設定で指定のプロッタ」
PDF化したい場合は「PDF」にします。
- ②『バックグラウンドでパブリッシュ』にチェックが入っていることを確認して
- ③『パブリッシュ』をクリックします。
PDF化の場合、保存先を聞かれるので保存したい場所を設定します。
トシザキ
ちなみにバックグラウンドでパブリッシュにしないと、パブリッシュ中(印刷中)他のCAD作業ができなくなるのチェックは入れておいた方が良いです。
これでパブリッシュは完了です。
自動パブリッシュによるPDF化をワンクリックでできるようにする方法
先に言っておくと、保存時に自動パブリッシュする設定はあり、上書き保存ボタンを押せばワンクリックで自動パブリッシュはできます。
ただ、その方法を有効にすると上書き保存だけしたい時でも自動的にパブリッシュされてしまいます。
そこでその保存時の自動パブリッシュを応用して必要な時だけパブリッシュするボタンを作る方法があるのでご紹介します。
この方法はすべてのレイアウトタブをパブリッシュする方法です。
一部のレイアウトタブだけをパブリッシュしたい時には使えません。
次にワンクリックでパブリッシュするマクロの登録を行います。
どういうマクロかというと
- 保存時に自動パブリッシュする設定をオンにする
- 上書き保存と同時に自動パブリッシュ機能で印刷(PDF化)
- 自動パブリッシュ設定をオフにする
というマクロになります。
マクロの登録方法の概要は次の3ステップになります。
- ツールバーに新しくアイコンを登録する
- 登録したアイコンに自動パブリッシュのマクロを登録する
- マクロを登録したアイコンを任意のツールバーに登録する
マクロの登録方法〔手順1〕
ツールバーに新しくアイコンを登録する
1⃣メニューバーの「ツール」⇒「カスタマイズ」⇒「インターフェース」
をクリックしてカスタマイズ画面を出します。
コマンドラインに「cui」と入力してエンターキー押下でもOKです。
2⃣「ユーザインタフェースをカスタマイズ」というウィンドウが出てくるので下の画像で示している場所の①「新しいコマンドを作成」をクリックするとコマンド一覧に②「コマンド1」という新しいコマンドが出てくるのでクリックします。
3⃣「コマンド1」のままの名前では分かりにくいので「自動パブリッシュ」等分かりやすい名前に変更します。
あなただけのカスタマイズツールバーを作りたい場合はコチラ
マクロの登録方法〔手順2〕
登録したアイコンに自動パブリッシュのマクロを登録する
1⃣新しく作成したコマンド①「自動パブリッシュ」等をクリック
2⃣プロパティのマクロの右にある「^C^C ]をクリックして下記マクロを貼付けます。
^C^C_.AUTOMATICPUB 1 .QSAVE ^C^C_.AUTOMATICPUB 0 .model .zoom a .qsave;
3⃣コマンドのアイコンも分かりやすいものに変えます。
ちなみに私は下のアイコンにしています。
マクロの登録方法〔手順3〕
マクロを登録したアイコンを任意のツールバーに登録する
1⃣作ったコマンドを「すべてのファイル内のカスタマイズ」内のツールバーの中にあるいずれかのツールバー内にドラッグ&ドロップで入れます。
トシザキ
ちなみに私は「使えるアイテム」という自分だけのツールバーを作っています。
最後にOKか適用をクリックしたらマクロの登録は完了です。
ツールバーの表示
作ったコマンドを使いやすくするためにツールバーの表示をします。
表示方法
- メニューバーの「ツール」をクリック
- 出てきたリストの中から「ツールーバー」⇒「AutoCAD」とカーソルを合わせる
- でてきたツールバーリストの中からコマンドを登録したツールバーをクリック
注意
- 2回目のパブリッシュ以降、できたPDFを開いているとパブリッシュしてもPDFが上書きされませんので、PDFは閉じてからパブリッシュしてください。
- 保存と同時にパブリッシュする設定ですので、作ったコマンドアイコンをクリックすると、自動的に上書き保存されます。
- 図面枚数(レイアウトタブ数)が多かったり、図面データ自体の容量が大きすぎるとパブリッシュに時間がかかります。
(※その間AutoCADで他の作業ができなくなります。)
できたコマンドアイコンの使い方
できたコマンドアイコンをクリックするだけで、DWGファイルと同じ名前のPDFファイルが、DWGファイルと同じフォルダに保存されます。
まとめ
パブリッシュの設定をしておけば、急にPDF化を頼まれたときでも時間がかからずにできるので焦らずにすみます。
最初のレイアウト空間に図面を設定する作業は面倒ですが、一度設定すればその後が非常に楽になるのでオススメです。
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